横浜市民ギャラリー　今日の作家展2001　ARTICULATE VOICE　新しい”イメージ”の可能性　大木裕之

大木裕之

大木裕之は1991年に東京から高知に移り住み、以来高知を拠点に四国、中国、関西、東京、長野そして海外と、複数同時進行中の映画制作のために各地を移動し、さらに文章執筆やドローイングの個展、VJイベント、パフォーマンスなどを精力的に手がける多忙な日々を過ごす。近年は特に映像のライブ性、そして土地の人々との“縁”を映像に結晶させることに強い関心を示す。大木作品は、大半が「進行形」或いは「未完成」であり、展覧会や上映会の場でライブ編集が行われ、複数のヴァージョンが生み出されていく。手持ちカメラによるクローズアップを多用し、作意性を排除した映像の中に迫り来る現実味と高速感、限りない叙情性と両立する構築性によって、時の流れと集積、自己と被写体の関係性、自己の宇宙観が、ドキュメンタリー/フィクションの境界を越えて表現される。16mm、8mm、DVなど様々な映像メディアを駆使し、監督・カメラ・編集を自ら行う大木の映像は、固定されたカメラによって世界を切り取るという感覚を最小限にとどめ、広大な世界を自在に泳ぎ回る生身の目であろうとする空間的自由を持ち、また同時に、時間軸を複数のごく短いシーンに区切ったり重ね合せたりすることによって、明確な時間的意志が表現される。本展ではDVによる４作品の最新ヴァージョンを上映する。