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横浜市民ギャラリーでは、横浜の街全体が“アートシティ”となることが期待され
る「横浜トリエンナーレ」の開催の時期に合わせ、「今日の作家展2001」を開催します。
「今日の作家展」は、1964年の当ギャラリーの開館以来、息長く続いてきた企画展 シリーズで、今日の日本の現代美術を代表する数々の美術家が若き日にここから出発 し、既存の美術の枠組にとらわれない実験的な試みを展開してきました。紹介されて きた作品は、戦後の美術の展開にかかわる根幹的かつ尖鋭な問題提起を行うものであ り、その軌跡は次世代のアートにつながる貴重なメッセージとなっています。 新しい世紀を迎えた今回は、国内での大規模な発表は初めてとなる海外在住の日本人 作家や、映画やファッションといったジャンルの枠組を超えて活躍するクリエーター を含む5名と1組のフレッシュな顔ぶれの作家たちが、「イメージの可能性」をキー ワードに、“映像の時代”を生きる私たちの「今」を掘り下げます。 20世紀高度資本主義の時代は、巨大化した映像メディアが描く「スペクタクルの時 代」でもありました。その予定調和的な「物語」に取り込まれ、個人生活 の本質的価値や諸個人間の関係を見落としてきたしわ寄せが、新しい世紀を迎えた私 たちに今、様々な社会不安や精神の不均衡というかたちでじわじわと浸透してきていま す。世界中で同時に報道され、歴史の大団円と思われた冷戦の終結は、新たに様々な 人々の衝突と排他的構図を生み出すこととなり、また私たちの生活に身近なところで は、一律的な教育主義や“成功物語”への過剰な信奉が、テレビや広告メディアに よってさらに膨らまされ、帰属意識の外に踏み出そうとする想像力の欠如が、家族や 隣人、他者同志の間に様々なひずみを生み出してきたことも思い浮かぶでしょう。 ここに紹介するアーティストは、このようなメディア支配の「物語」に収斂・消費さ れることを意識的・無意識的にすり抜けることによって、自らが生きる新しい時代へ の接点を求め、私たちの時代を席捲する“イメージ”について考えます。その視点 は、日常や家族といった個人的価値の再生に向かうもの、或いは、高度情報化の経済 的余剰の部分から新たに産まれる精神的価値を提示しようとするもの、また或いは、 巨大娯楽映画や広告で育った私たちにとっての視覚の真実を追求するもの、そして、 グローバル社会の亀裂・空洞に入り込み、他者との距離について思索を行うもの、と 多岐にわたります。表現手法は様々ですが、彼らが用いる“イメージ”は、単なる主 題の再現を越えて、自律的かつ非実体的な広がりを有しています。 ARTICULATE VOICEというタイトルは、新しい時代を生きる一人一人が、自分と現実と しての歴史との接合を意識し、メッセージを発信していくこと、社会の一構成要素と しての価値を認識し、自立性を保ちつつも他者の世界と関与していく、という個のあ りようを示しています。 初日のパフォーマンスや、観客参加型の作品も予定されています。詳細はおってお知らせします。 |
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