今日の作家展2001 ARTICULATE VOICE 新しい”イメージ”の可能性
眞島竜男
眞島竜男がロンドン留学から戻った翌年の1994年、デッサン用の石膏ヴィーナス像に
天ぷら衣をつけて油で揚げた彫刻「衣付きソーセージ」を発表した時のインパクトを
ご記憶の方々も多いだろう。これはロンドンで親しんだフィッシュ&チップス文化に
想を得たものということだが、このような冗談めかした壮大なる馬鹿ばかしさとも言
える要素は、彼の以後の作品にも通ずる。95年に発表された、1930年代の日本洋画界
を題材にしたイマジナリー・カンヴァセーションのヴィデオ「日本近代美術 楽しき
国土」、98年のインスタレーション「サボテン・エンジン」などでは、過去−現在−
未来の感覚を超越する複雑な時間構成と、文献調査に基づくディテールに凝ったス
トーリー設定によって、ジョイスに代表されるモダニズム文学の手法、即ち様々な引
用や文体の組み合わせを駆使し、日常性と精神性が交錯する状況を提示することへの
関心を示した。最近作「美人丸」は、時空を超えた四次元的コミュニケーション能力
を持つ現代版“くのいち”を自ら演じ、スチール写真とメイキングビデオに収めるも
のであった。本展では、映像流通の速度とサブカルチャーをめぐる眞島らしいユーモ
アとアイロニーに富んだ、レンタルビデオショップ形式の観客参加型の展示を行う。
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©Majima Tatsuo 眞島竜男 《美人丸》 1999
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