今日の作家展2001 ARTICULATE VOICE 新しい”イメージ”の可能性
天江竜太
天江竜太は、自ら撮影した写真や印刷物、アトリエで制作した小模型の実写、数十
枚の素描といった素材を全てコンピューターに入れて細かなレタッチを行い、一つの
風景イメージを作り出す。データは180×230cmなどの大サイズにプリントされ、額装
で提示される。そこに現れるのは、誰もがいつかどこかで見たと思ってしまうが、実
は全く見たことのない架空の風景である。灰をかぶったようなモノトーンの都市俯瞰
図の中に、バベルの塔のごとく空に伸びる巨大鉄骨建築。或いは、工事途中で打ち捨
てられた熱帯リゾートの東屋のごとく、荒れ地に忽然と現れた地上楽園。都市計画写
真か何かのようにも見える叙情性が排された画面は、どこか異常な虚構世界でありな
がら、見る者はそのイメージの総体を実在のものと錯覚する。ハリウッド映画や観光
パンフレットなどでいつか見た断片の集成から成るイメージは、私たちにとってもは
や真実以上に真実味を帯びるものなのかもしれない。スタティックな写真でもなく単
なるコンピューターアートでもない彼の作品は、一瞬の中に存する「時」の概念を視
覚化する試みである。
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©Amae Ryuta 天江竜太 《フィクション》 1998 コンピュータ・グラフィック
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