今日の作家展2004
  概要 智内 兄助 橋口 譲二 森脇 正人 楊 暁みん 会場風景 ギャラリートーク 横浜市民ギャラリー  



1997年より人物を描き始め、
以来墨や岩絵具などの
伝統的な素材を用いて、
アルミや銀の箔の空間に
強い存在感を放つ若者像を
描き続けてきた
ヤン・シャオミン氏。
来場者からの質問を受けながら、
技法やご自身の
造形に対する意識について
語っていただきました。

ヤンシャオミン会場風景
3月6日 会場風景
写真中央がヤン・シャオミン氏


99 若者シリーズ1
図版1
《99 若者シリーズ1》
1999年 180.0×360.0cm (パネル4枚組)


2002 若者
図版2
《2002 若者》
2002年 187.0×450.0cm (パネル6枚組)




1960年中華人民共和国泉州に生まれる。
福建省工芸美術学院、
北京中央美術学院を経て、
華僑大学芸術学部助手となる。
福建省美術館、中国永楽宮壁画研究所での
研究活動を経て、1988年に来日、
和光大学芸術学専攻を修了。
本展では1997年から2003年に
描かれた人物の作品10点を展示。

Q.
人物を描くまでは風景を描いていたんですね。

A.
5年の間、風景を描きました。その後1997年から人物を描くようになりました。風景を描くのにも風景を描くことが目的ではなく、造形を組み立てることが大きな目的でした。人物になったのも、風景で培った自分の感覚が、どこまで人物という題材に通用するかという理由からでした。昔の作品には欠陥がたくさんあって恥しいけれど、その当時は精一杯の力で描いていました。理論的にじっくり物を考えてから描く方ではないんです。直感的です。


Q.
箔を使い始めたきっかけは?

A.
日本に来てから箔を使うようになりました。魅力的に思えましたので。絵具と木炭と箔。僕の材料は基本的に最小限で良いんです。箔の扱いについては、日本画の技法を勉強してから、自分なりに使っています。箔を定着させる時は扱いやすいアクリル樹脂系の接着剤を使っています。アルミ箔と銀箔を混ぜて使います。質感が違って、銀箔には温かみがあって、アルミ箔は冷たくて硬い。試していくうち、アルミの方が自分の考え方に近いかな、と思うようになり、その後はアルミが中心になってきました。最初はあまりわからないままで描いていましたが、時間が経つにつれて形や素材に対する要求が変わっていきました。


Q.
箔を貼った背景は何を示していますか?

A.
具体的なものではなく、もっと感覚的な空間として捉えています。奥行のある空間というだけです。想像させるというか、絵画ならではの、箔ならではの独特の空間をつくっています。日本では「箔の空間」にたくさん出会い、影響を受けました。箔は必ずしもタブローの背景にだけではなくて、襖とか屏風とか日常の生活にも箔を使ったものがありますね。それに人物だけ描いても絵になりません。人物が弱くなる場合は、時に構造を構築する必要があります。その際、構造上の面や線を組み立てるのに箔を使います。風景にしても人物にしても同じことです。


Q.
2002年の作品あたりから
箔の扱い方が変わってきていますね。

A.
箔を使い始めた頃は、素材に対する恐怖感があって、ただ貼るだけでした。箔という無機質なものを単に貼るのではなく、絵の素材としてコラージュのようになることを徐々に意識し始めました。箔を使ってもう一度外側から絵に形を与えていく。段々包んでいくように。最初は箔を貼るのに接着剤を使うだけでしたが、2002年の作品あたりから絵具などを箔の中に埋めていっています。更に下に重ねている箔を削りだす。そうすることで箔の表情を変化させています。


Q.
初期の頃に比べると
人物の造形が徐々にそぎ落とされてきましたね。

A.
描いて描いて、人物をずっと描いて。モノをつくる人間としては、つくる時にはどれくらいつくれるかを考え、その後段々とどのくらい形をそぎ落とすことができるかを考え始めます。性別もわからないくらいですが、気にしていないですね。もっと人物を普遍的に語るようになってきました。



制作  横浜市民ギャラリー │ 作成日  2004年3月30日 │ 修正日  2004年8月19日
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