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展覧会アーカイブ

横浜開港150周年関連事業
「イリス150周年-近代日本と共に歩み続ける或るドイツ商社の歴史」展 
“C.Illies & Co. 150th Anniversary – A Reflector of the Modern Japanese Industrial Development”

 
[趣 旨]
この展覧会は、2009年の横浜開港150周年記念事業の一環として、同年創業150周年を迎える在日ドイツ商社「イリス」の歴史を振り返るものです。イリスは1859年に「L.クニフラー商会」として長崎・出島で創業しました。同じ年の横浜居留地開設に際しては開業第1号の外国商社となり、福沢諭吉がその頃のクニフラー商会を訪れています。当時は銃器、船舶、織物などを輸入し、土佐藩の後藤象二郎、岩崎弥太郎などとも取引を行っていました。その後事業の発展と共に神戸、大阪、築地に支店を開設。横浜には関東大震災まで所在し、幕末から明治・大正期にかけて急速に近代化する日本の中で、水道、港湾建設、橋梁、鉄道、軍事、紡績、製鉄など、多方面にわたり設備と技術を提供し、大きな実績を残しました。イリスは両世界大戦に挟まれた時期も発展を続け、戦後もいち早く復興し、今日もハンブルクと東京を中心として世界各地に展開し、高度な生産設備とエンジニアリングを提供しています。
 
イリス社150年の歴代社員の中には日独交流史に名を刻んだ人々も含まれています。居留地に最初に登録し、「キニフル」の名で数々の古文書に登場する創業者クニフラー。クニフラーは初代プロシア副領事となり、帰国後もベルリンにおいて岩倉使節団と面談しています。その後、日本で最初の独和辞典を編纂した司馬凌海ら長崎の医学者たちと交遊したギルデマイスター、土佐藩との銃・軍艦の取引で司馬遼太郎の小説『竜馬が行く』のモデルにもなったレッデリーン。自らの数奇な滞日経験を小説『ドイツ商人幕末を行く』に著したヴェーバーなどです。彼らはまた、横浜居留地でクラブ・ゲルマニアの設立に尽力し、文化的社交生活の向上に貢献すると共に、ドイツ東アジア自然民族研究所(OAG)の設立にも大きく貢献しました。また、1907年に居留地54番に建設された社屋は、神戸の<風見鶏の館>の建築家として知られるゲオルク・ド・ラランドの設計による洗練された建物で、2007年に敷地の一部が発掘調査された際、ビレロイ&ボッホ社製の色鮮やかな装飾タイルが多数出土し、明治末期の旧居留地建築の華麗な佇まいを彷彿とさせました。
 
横浜開港から第一次世界大戦勃発までの約60年間は、通信・交通手段の飛躍的な発展によって世界がはじめてひとつのネットワークで結ばれた、第一次グローバリゼーションというべき時代です。今日の新たなワールドネットワークと考え合わせると、洋の東西を結び付けたイリス社の歴史は、一外国商社の歴史であることを越えて、幕末から明治維新を経て21世紀に至る歴史の一貫した当事者として、グローバリゼーションの一翼を担ってきたともいえ、横浜居留地の生活と文化、日独交流史、そして日本近代化の歴史を物語る貴重な証言といえるでしょう。
 
この展覧会は、こうした歴史の当事者としてのイリス社に焦点をあて、日独に保存されている古文書や記録文書、錦絵、古写真、各種取扱物品、貨幣、社屋関連資料、模型などを通して、人とものをつなぐ商社の仕事を跡づけ、また、居留地の様子を描き、150年の歴史を生き生きとイメージ出来る場を作り上げようとするものです。
 
[会期・会場]
2009年4月6日(月曜)から 6月7日(日曜)
横浜美術館アートギャラリー1、アートギャラリー2
※入場無料
※木曜休館、6月3日(水曜)休室
 
主催
株式会社イリス
横浜美術館(横浜市芸術文化振興財団)
 
[主な展示品(予定)]
古文書、書簡、記録文書、幕末・明治期の浮世絵、写真、古地図(長崎、横浜、兵庫等)、貨幣、横浜社屋関連出土品並びに資料、各種取扱物品(幕末期の銃、函館水道関連資料、プラント模型、オートバイ、エンジン等)、肖像画、工芸品等
計約170点



 

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