「美の教室」の時間割

本展は、全体を通して1日の学校の授業になっています。「授業」は、モリムラ先生によって進められ(音声ガイド:来場者全員に無料貸出)、来場者は「生徒」となって「美=Bi [bi:] 」について学ぶことができる、授業形式の展覧会です。各セクションは、「ホームルーム」「1時間目から6時間目」「放課後」で構成され、一日の授業をめぐった後、会場に用意されたワークシート型の試験を受けると、修了証が発行されます。(参加無料)

ホームルーム

学校の教室をイメージした空間(空間デザイン・設計:みかんぐみ)で、モリムラ先生によるその日の授業(展覧会の心得)についての説明があります。また「美の教室」インストラクターによる展覧会のガイドを受けて、次の授業へと進んでいきます。


1時間目:フェルメール・ルーム [絵画の国のアリス]

最初の授業では、モリムラ先生が作品を制作するときの舞台となった原寸大のセットが再現されています。『鏡の国のアリス』が鏡の中に入っていったように、ここで私たちは、絵画の世界に入り込んでいくような感覚を味わうことができるでしょう。

《フェルメール研究(大きな物語は、小さな部屋の 片隅に現れる)》
2004年
カラー写真
国立国際美術館蔵

《フェルメール研究(大きな物語は、小さな部屋の 片隅に現れる)》


2時間目:ゴッホ・ルーム [釘つき帽子の意味]

絵画の世界に入った後は、モリムラ先生自身が作品に「なる」時間です。ここではモリムラ先生がどのようにして作品になったのか、裏側まで見ることができます。

《肖像(ファン・ゴッホ)》
1985年
カラー写真
国立国際美術館蔵

《肖像(ファン・ゴッホ)》


3時間目:レンブラント・ルーム [負け犬の価値]

モリムラ先生の作品は、実はどれもがセルフ・ポートレート(自画像)です。この時間は、生涯を通じて自画像を描き続けたレンブラントの作品に「なる」ことで、画家の人生を表現した作品を紹介します。

《放蕩息子に扮するセルフポートレート 1636》
1994年
カラー写真にカンヴァス加工
原美術館蔵

《放蕩息子に扮するセルフポートレート 1636》


4時間目:モナリザ・ルーム[モナリザのモナリザの、そのまたモナリザ]

モリムラ先生の作品の基本である「ものまね」という行為を入口に、生徒(来場者)がモナリザになってみることができる実習コーナーです。「まねる」ことを通じて、文化が受け継がれるということを、あらためて考えてみる授業です。

《第3のモナ・リザ》
1998年
カラー写真プリント、カンヴァス加工
作家蔵

《第3のモナ・リザ》


5時間目:フリーダ・ルーム [眉とひげ]

メキシコの画家フリーダ・カーロは、女性でありながら太いつながった眉とヒゲを自画像に描き込んでいました。また、マネは《オランピア》で少年のような肉体の女性を描きました。男性らしさ、女性らしさはあらかじめ決まっているものではありません。フリーダの自画像やオランピアに描かれた「男性のような」女性になったモリムラ先生の作品から、男らしさ、女らしさとは何か、美しさとは何なのか、考えてみましょう。

《私の中のフリーダ(手の形をした耳飾り)》
2001年
カラー写真
作家蔵

《私の中のフリーダ(手の形をした耳飾り)》


6時間目:ゴヤ・ルーム [「笑い」を搭載したミサイルの話]

美術作品の中には、現実にはあり得ないことや、つい笑ってしまいそうな作品があります。そんな作品を見て、笑ってはいけないのでしょうか?そんなことはない、大いに笑っていいのだと、モリムラ先生は作品に表れる「笑い」の要素を大切に作品をつくっています。苦悩や怒りに満ちた世界を救うことができるのは、政治家でも軍人でもなく、「笑い」を生み出すことができる美術なのかもしれません。

《今、こんなのが流行っているんだって》
2005年
タイプCプリント・アクリル圧着
作家蔵

《今、こんなのが流行っているんだって》


放課後:ミシマ・ルーム

一日の授業を終えて、放課後の校庭にあるのは、未来に向けて何を受け継いでいくべきか、モリムラ先生のメッセージです。

自分の美学を追求し、遂には自殺した三島由紀夫。ここでモリムラ先生は、自殺してしまうのでなく、「生き延びる三島由紀夫」となり「七転八起」のはちまきを締めて、「美術家」として私たちに語りかけているのです。

《なにものかへのレクイエム(烈火の季節)》

《なにものかへのレクイエム(烈火の季節)》
2006年
ビデオ・インスタレーション