« イサム・ノグチ探険記5月13日no.6 | メイン | イサム・ノグチ探険記5月13日no.8 »
緑の多いこどもの国にイサム・ノグチが設計したA地区がひっそりとある。完成当時のままではないが、現在残されているもので面影を窺うことができる。緑と合間に見える岩肌にノグチの石を使った遊具やオブジェが映える。そこはノグチの思想であふれていた。彫刻と空間の関係を考えた構造になっていること、地形を利用した空間であること、大地を母と見立てていること。
スケートリンク脇の道を進んでいくと左手に石垣が見える。その石垣沿いに尖塔アーチ形の扉が数箇所ある。中に入ると天窓を施した空間がひろがり、当時トイレとして設計されたその空間は、中世ゴシック建築の教会堂を想起させるような湾曲した壁と側壁を持ち、天窓から降り注ぐ光は神秘的である。天窓は外から見ると円筒状になっており、大地から突き出たように見える。大地の下に広がる空間は母体のように感じられ温かささえ感じることができた。
石垣を隔てたトンネルをくぐると不思議な感覚に襲われる。まっすぐに見えるトンネルが実際にくぐると湾曲している。子供の身長ほどにかがむとさらにそれを強く感じることができる。その道はその先にある遊具へのアプローチだ。右方向へ導かれるように抜けると、中が滑り台になっている「マンジュウ山」と呼ばれる遊具が現れる。半球が大地から顔を出したような山は、A地区の中心に「へそ」のごとく置かれ、山の周りには当時母親が集う広場があった。その配置からノグチが大地を母と考えていたことが窺える。
今回こどもの国にこのような遺産があることを初めて知った。ノグチは生涯役に立つことを情熱の根底にした。子供が広い夢を持てるように設計し、随所にノグチの思想が表されたこの空間をより多くの人に感じてもらい、世界に現存する2つのうちの1つであるノグチのプレイグラウンドがすばらしい遺産であることを感じてもらえたらと思う。(横浜美術館市民ボランティア 宮川朋子)
投稿者 noguchi : 2006年05月19日 11:41