立春とは申しますが、まだ寒さ厳しき日が続いております。
横浜美術館では、今年度の最後を飾る展覧会として、個展「松井冬子展―世界中の子と友達になれる」を12月17日から開催しており、多くのお客さまにご来場いただいております。
松井冬子は、油彩を学んだ後日本画に転じ、現在最も注目されている画家のひとりです。松井は、日本画の伝統を受け継いだ精緻な技術を駆使し、絹布に顔料や墨で、恐れ、生と死、狂気など、人間の心の奥にうずまいている精神的な苦痛や、朽ち果ててゆく肉体的な苦痛を描き出します。
小学生時代、不思議な微笑みをたたえるモナ・リザに魅了された松井は、画家を目指すことになりますが、彼女の絵は、レオナルド・ダ・ヴィンチの描く人物の表情や人体解剖図を髣髴とさせます。日本画の伝統だけでなく西洋美術の伝統にも根ざしたその画風と痛みの表現は、耽美的で独特な情念や世界観を示しています。そこには、現実を見つめる松井自身の冷徹で挑戦的な眼差しを見て取ることができるでしょう。
公立美術館における初めての本格的な個展となる本展は、新作や画稿もふくめ約100点で構成され、松井冬子の創造の軌跡を示す展覧会となります。
3月からは新作の映像作品もグランド・ギャラリーで展示する予定です。
また、2011年は横浜にゆかりのあるインドの詩人タゴールの生誕150年、2012年は下岡蓮杖が横浜で初めて写真館を開いて150周年にあたります。コレクション展では、「タゴールと三渓ゆかりの日本画家たち」そして、フォト・ヨコハマ2012の時期に合わせ「下岡蓮杖と幕末明治の写真」を特集展示しています。どうぞ併せてお楽しみ下さい。
横浜美術館のコレクションの中からお好きな1点に支援していただく横浜美術館コレクションフレンズ2012の募集が始まりました。今回は、森村泰昌の映像作品、井上良斎の花瓶、安田靫彦、ダリ、ミロの絵画、ピカソの版画など、多様で魅力ある8作品が支援対象です。作品への理解を深め、作品をより身近に感じていただく横浜美術館コレクションフレンズ2012。是非、ご参加くださいますようお願いいたします。
横浜美術館館長 逢坂恵理子
