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見ましたか、収蔵作品展 横浜市民ギャラリー収蔵作品展2003

アート・サロン 添田定夫氏によるトークの概要

 収蔵作品展の関連事業として行っている「アート・サロン」。今回は大倉山記念館 での会期中、洋画家・添田定夫氏をお招きし、出品作品に関連するエピソードや作品 制作の本質に関わる部分をお話しいただきました。

 

日時  2003年8月17日(日) 14:00〜15:30

会場 大倉山記念館第10集会室

聞き手 内山淳子(横浜市民ギャラリー学芸員)

参加費無料

参加者 60人

添田定夫(そえだ さだお)

1916年現在の伊勢原市に生まれる。神奈川県師範学校専攻科卒業。横浜国立大学附属 横浜中学校での美術教員、横浜市立六浦小学校校長、万騎が原小学校校長などを歴 任。その一方、創元展、日展、ハマ展などに出品。1998年横浜市民ギャラリーで個 展。創元会名誉会員。日展会友。

●教会を描き始めたきっかけは?

 戦争中は例えば山手を描いていると憲兵が来ましてどうのこうのと言われるんです ね。だから横須賀のほうへ行って描いてもいいという許可をもらって絵を描くと、そ れにハンコをもらわないといけない。だめなのはもう消さなくちゃいけない。だから その頃は室内で子供を描くことばかりしていたわけです。

 戦後は焼け野原で風景を描こうと思っても何もない。そこに現れたのが教会。野毛 はね、全部焼けちゃって。教会だけポコンと焼け残りになっていたの。それが随分印 象に残っていたので描きました。

●教会から風景画へ移られたのは?

 イタリアへ行って、ベニスにある教会を見て驚きました。すばらしい教会で、教会 をこの頃はあんまり描かなくなっちゃったんですね。日本の教会を見ても、どれも向 こうの教会に驚いた感じがしなくなったんです。むしろ日本は春夏秋冬の景色がすご くいいんだから、教会はやめましょうということで。

●制作のねらいは?

 「見えたもの」を描いても中が分からない。見えたその後ろとか、存在感とかそう いうものを描こうとしているんです。そうすると見えたままでなくて、水の深さと か、この杉の木は結構重いな、重さを何の色で描こうかと、それからこれはどのくら いの距離なんだろう、と考え付いてくる。だから「見えたもの」よりも「見たもの」 を描く。自分の考えのアンテナを張って歩いていると、ちょっといい構図だな、って見 えてくる。ただ、アンテナを張らずに歩いていても見えるだけ。見えてこない。見え るだけですよ。

 木を描く時に木の肌を描くとこれは梅だ、桜だ、桐の木だ、いろんな肌を見ると分 かりますね。それだと、「見えたもの」なんだよ。「見たもの」ではないんだ。どう 見るかというと、春と秋と冬とは木の肌が違うし、葉っぱの色も違うし、みんな印象 が違う。太い木は非常に重いの。常緑樹なんか葉っぱがものすごく重いんだな。でも 秋になると真っ赤になったり黄色になって、それはひとかかえ抱えたってフワーッと するわ。だから秋の葉っぱは軽いんだよ。・・・植物を見るのも木を見るのも、それ から風景を見るのも人間を見るのも、同じような気持ちで見て描くと、非常に参考にな ると思うんですよ。

問い合わせ

横浜市民ギャラリー

ycag@city.yokohama.jp

TEL 045-224-7920   FAX 045-224-7928

〒231-0031 横浜市中区万代町1-1 横浜市教育文化センター内