横浜市民ギャラリーコレクションを中心とする企画展 兵藤和男と山中春雄 現代の版画
実在の奥なる清光を求めて 戦後ヨコハマに交叉した二つの異彩 青春昂揚の1950−60年代

1950年、既存の美術団体意識にとらわれない
「神奈川アンデパンダン展」を実現、横浜の洋画界に
新風を吹き込んだ兵藤和男山中春雄
存在の本質に迫る二人の作品は、時代の転換期をむかえ
不安を抱える私たちに、強く訴えかけてくることでしょう。

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前年のコレクションを中心とする企画展



趣旨

横浜市民ギャラリーの「コレクションを中心とする企画展」では、収蔵品の陳列に併せて、 収蔵作家に焦点を当てた特別テーマを設け、他の所蔵先からも広く作品を借用して、 戦中・戦後の横浜の美術動向を顕彰する試みを行っています。 今回は、油彩画家兵藤和男氏のご協力を得て、氏の壮年期の画友であった山中春雄(1962年没 享年43歳) との二人展の形式で、若かりし彼らが意気投合し、敗戦直後の野毛や山手の丘で芸術論を交わした当時の作品を紹介します。
画壇の人間関係の煩わしさを厭い、幼い頃から貪るように読み続けてきた近代文学や詩を心の支えに、 簡素な独居生活の中ですがすがしいほどの自負に満ち、対象の本質を捉えるべく信念を貫いていた青年、 兵藤和男。現実を生きることのやりきれない暗鬱と、救済の微かな光への希求を描き、 行動美術会のホープと高く評価されながら、自信とコンプレックスが交錯する自分自身に深く悩んだと言われる山中春雄。 画の性質も生き方も大きく異なる二人は、一定の距離感を保ちながらも、お互いの仕事を高く評価し合いました。 1950年には、二人が中心となって当時の地元若手画家たちの快気焔をまとめあげ、既存の美術団体意識にとらわれない 「神奈川アンデパンダン展」を実現、横浜の洋画界に新風を吹き込みました。
兵藤氏は80歳になられる現在も、黒の背景から鮮やかに煌めき立つ卓上静物や、歓喜にうねるかのような新緑木立を、 一点一点に年月を費やしながら描き続け、独自の画の世界を構築しています。本展は、兵藤氏の求道的なまでの仕事の源泉が、 岩盤のごとく厚く暗く塗り重ねられた、壮年期の静物画にあることを、あらためて知る興味深い機会となるでしょう。 また、独特の冷たい色調による油彩画や、エッチングのように鋭く緻密な鉛筆画によって、現代人の孤独と空虚を描き、 冴えた才能を発揮するさなか、早すぎる不慮の死に倒れた山中春雄の作品は、 時代の転換期をむかえて様々な不安を抱える現在の私たちに強く訴えかけることでしょう。
会場2階では、市民ギャラリー所蔵の版画作品約30点を展示し、現代版画の様々な技法と表現をご紹介します。


会期・会場など

■会期
2000年9月19日(火)から10月1日(日)まで (9月24日(日)休み) 会期12日間

■開館時間
10:00〜18:00

■会場
横浜市民ギャラリー 1階、2階展示室

■入場料
無料

■主催
横浜市民ギャラリー・横浜市


出品作品

■特別展示(1階)

兵藤和男 初期作品約30点、山中春雄遺作約30点

作品リスト

■収蔵品陳列(2階)

市民ギャラリー収蔵の現代版画作品約30点


刊行物

リーフレット、チラシ、B3ポスター

内山淳子 「兵藤和男と山中春雄 青春昂揚の1950-60年代 −戦後ヨコハマに交叉した二つの異彩−」 (上のリーフレット所収の全文を掲載)


連絡先

横浜市民ギャラリー担当学芸員 内山淳子

E-mail ycag@city.yokohama.jp

横浜市民ギャラリートップページ

更新日 2000年10月24日

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