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2016/05/06

コンサート

連載コラム<魅惑のペルシャ音楽>その1

6/25(土)「ジャン=ギアン・ケラス シルクロード・プロジェクト」(会場:横浜能楽堂)開催にあたり、連載コラム「魅惑のペルシャ音楽」(全4回予定)をスタートします!

 

 今回チェリストのジャン=ギアン・ケラスが共演する楽器「ザルブ」、「ダフ」・・・ほとんどの方にとって初めて聞く楽器ではないでしょうか。そもそもペルシャ音楽・楽器とはどのようなものなのでしょうか?本コラムではペルシャ音楽について、楽器について、更にはリズムなど少し専門的なお話まで、分かりやすくご案内します。

  ぜひお読みいただき、当日の演奏を二倍・三倍、お楽しみいただきたいと思います。


6/25(土)14時開演「ジャン=ギアン・ケラス シルクロード・プロジェクト~横浜能楽堂で出会う中東&邦楽器」チケット販売中!

公演の詳細はこちら


 

ケラス「地中海の風」エクサン・プロヴァンス2014.jpg

 

 

1回「ペルシャ音楽への誘い」

 

執筆:酒井絵美

 

 民族音楽学者として世界中を巡り、シベリアからアフリカまで、当時の日本人としては最も多くの地域の音楽に触れたであろう故小泉文夫 (1927-1983) は「死に際して5分間だけ音楽を、と言われたら躊躇なくペルシアの歌を選ぶ」(*注)という言葉を残しました。

 

 それから三十年以上が経った今、「中東音楽」という単語に皆さまはどのような音楽を想像されるでしょうか?ベリーダンスの音楽、メブレヴィーの旋回舞踊、砂漠に住むベルベル人の吹く乾いた笛の音・・・。

 

 どれも正解です。といいますのは、中東音楽とは、アラブ音楽、ペルシャ音楽、トルコ音楽のすべてを含む言葉だからです。それぞれの音楽はアラビア語、ペルシャ語、トルコ語、あるいはどれとも異なる少数民族の言語を持つ人によって奏でられてきました。地域ごとに異なる旋法、リズム体系を持ちますが、使われる楽器が類似したり、我々日本人にとってはエキゾチックと感じる響き(♯や♭よりも細かく分割した音程である微分音)を持つという共通点があります。また、それぞれの地域に古典音楽(日本でいうなら、邦楽)と民俗音楽(日本でいうなら、地域地域の民謡など)があり、それらすべてを含めて中東音楽と呼んでいます。

 

 歌を大変好むというのも、中東地域の特徴です。はるか昔、アラブの人々は詩を吟じあって戦いの勝敗を決めたという伝えがあるように、彼らは歌や声に深い思い入れを持ち続けてきました。イスラーム教地区では祈りの集いのための呼び声「アザーン」を毎日五度耳にしますが、その声について市井の人々は批評を繰り返し、お気に入りの声を持っています。

 

 ところで、筆者がアラブ地域の音楽院に現地のヴァイオリン奏法を習いに行った際にも「歌のように弾きなさい」さらに即興部分では「人が話しているように、語りかけるように演奏しなさい」と指導を受けました。このように、器楽においてもどう歌うかが重要であり、聴きどころといえます。ジャン=ギアン・ケラスのシルクロード・プロジェクトでは、「人の声に近い楽器」といわれるチェロ、息の吹き込み方により多彩な音色を表現する尺八が、どのようにペルシャの古典楽器と調和し、アラベスクを織りなすのでしょうか。

 

 次回からのコラムでは、コンサートをより楽しめるように、ペルシャ音楽で使われる楽器、旋法、リズム、楽曲構造について解説します。

 

 

 

*注 出典:小泉 文夫「中東音楽の三極」、板垣 雄三編『中東ハンドプック』、東京:講談社、1978年。



 

 

酒井絵美

 

東京藝術大学音楽学部楽理科卒、同大学院音楽研究科音楽文化学専攻(音楽民族学・専門は東アラブ地域の古典音楽)修了。

現在、同大学演奏藝術センター教育研究助手。3歳よりピアノ、5歳よりヴァイオリンをはじめる。2013年初春、アントニン大学(レバノン)にてアラブ音楽理論とアラブ・ヴァイオリン奏法を学ぶ。2015年は二度ノルウェーに滞在し、ハーディングフェーレ国際マスタークラスに参加するなど、フィドル奏法の調査・研究をおこなう。

アイリッシュ音楽ユニット「きゃめる」、「tipsipúca」、ノルウェー音楽デュオ「ノルカルTOKYO」、アラブ古典音楽ユニット「ムシカ・アラビーヤ」などで、ヴァイオリン/フィドル奏者として活動中。http://www.emysakai.com/

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