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2015/09/10

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モルゴーア・クァルテット 荒井英治さんスペシャル・インタビュー

12月31日(木)「ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全15曲演奏会」出演


モルゴーア・クァルテット 荒井英治さん(ヴァイオリン)スペシャル・インタビュー!

 

今年の横浜みなとみらいホールのカウントダウンコンサートは大ホールと小ホール同時開催!

小ホールではモルゴーア・クァルテットによる「ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲全15曲演奏会」を行います。

モルゴーア・クァルテットはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を演奏するために結成され、これまで全曲演奏に3度取り組んできました。そして結成23周年を迎えた今年、初めて全曲を"1日で"完奏します。

ショスタコーヴィチの没後40周年の2015年、そして生誕110周年にあたる2016年へ年を跨いで完奏するという、まさに特別な年越しが実現します!

今回は第1ヴァイオリンを務める荒井英治さんにショスタコーヴィチへの想いと公演への意気込みを語っていただきました。

 

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――ショスタコーヴィチとの出会いについてお聞かせください。

荒井英治◆WEB.jpg

◆偶然、交響曲第5番のフィナーレの冒頭、10秒ほど耳にしたのが、忘れられない記憶でした。その当時4歳くらいの耳には恐怖としかいいようのない強烈な印象でした。曲名を知り、全曲のレコードを新宿の中古屋で見つけて購入したのは4年くらい経ってからなのですが...。また、ヴァイオリンを習い始め、演奏のお手本として購入したおそらく最初のレコードが、レオニード・コーガン※1の独奏によるショスタコーヴィチの協奏曲第1番です。コーガンの鋭利な切り口が合っているのか、ショスタコーヴィチの熱い冷たさにやはりある種の恐怖を感じ、見事にはまりました。それからは、新世界レコード社から発売されているメロディアの国内プレス盤の交響曲を少しずつ買い足していきました。(エフゲニー・ムラヴィンスキー※2、キリル・コンドラシン※3 指揮のもの。)もちろん第13番〜第15番や、第2番のヴァイオリン協奏曲はリアルタイムで発売と同時に、速攻でレコード店に飛び込みました。

1 レオニード・コーガン(1924-1982):ウクライナ出身のソ連の名ヴァイオリニスト。

2 エフゲニー・ムラヴィンスキー(1903-1988):ロシアの指揮者。20世紀を代表する指揮者の一人。ショスタコーヴィチと親交を結んでおり、多くの曲の初演に携わった。

3 キリル・コンドラシン(1914-1981):旧ソ連出身の指揮者。ショスタコーヴィチの交響曲の初演に携わり、世界で初めてショスタコーヴィチの交響曲全集を録音した。 

――ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲のどの様なところに魅力を感じますか?

◆居ても立ってもいられなくなるんです。血が騒ぐというか...。だいたい頭で理解する音楽ではないのは確かです。もちろん、音楽は感覚で愉しむものですが、ショスタコーヴィチの場合は心の一番奥に潜んでいるものが引きずりだされてくる、「毒性」とも言えるような特別な魔力があります。これは、リゲティの音楽にも共通するものです。狂気というものは、ある種の精神的葛藤から生まれてくると思うのですが、その心の傷口から見える闇を目の前に突きつけられているところにショスタコーヴィチの深淵さが広がっているように思います。たぶん一番近いのはシューベルトかもしれません。

弦楽四重奏曲は交響曲よりつっけんどんで愛想がないように感じます。それは彼にとって弦楽四重奏曲が日記のようなものだからです。第1番は彼の幼少の頃に立ち返ろうとしています。その初々しさは驚嘆すべきものですし、そこを弦楽四重奏曲の長い旅路のスタート地点としたのは興味の尽きないことです。第2番から第5番までは壮大な交響楽的な世界を投入しようと意図していたように思います。自己と彼を取り巻く外の世界の軋轢が主題ではないでしょうか。それ以降、第10番までは内省的な方向へ、あたかも等身大の自分自身に向き合っていった過程があります。そして第11番から第14番は彼の到達した境地が開示されていきます。人間や生きる意味についての考察です。哲学的な命題だけが彼が最後に語りたかったものでしょう。そして、最後の第15番で、自分の人生に別れを告げます。もはや何も語ろうともしません。死を前にしたひとりの孤独な人間に去来する心象風景が、綴られていきます。

 ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は室内楽の奥座敷とも言われるこのジャンルで、想像を超えるような凶暴な音楽を奏でたり、独奏曲ではないかと勘違いしてしまうほどに、ひとつのパートへの偏愛があったり、一歩間違えれば四重奏として成り立たないほど掟やぶりなところがあるのが凄いところです。バルトークやシェーンベルクなどはどこから突ついても完璧なスコアを作るのですが、それに対しショスタコーヴィチは彼らの頭の中にはないようなとてつもない大胆不敵さで迫ってくるのが、私にとっての最大の魅力です。

   

――モルゴーア・クァルテットにとって、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の演奏はライフワークと呼べると思いますが、結成23年を迎えた「いま」、全曲を演奏するお考えや意気込みをお聞かせください。

モルゴーアインタビュー◆WEB.jpg

◆モルゴーアはショスタコーヴィチなんです。聖典といわれるベートーヴェンの弦楽四重奏曲は結成して23年経ってもいまだに全曲を演奏したことはなくて、4曲も残しています。嫌いなわけでも、実力が不足しているからでもありません。むしろ究極はベートーヴェンだと確信しています。ただ、今やるべきはやはりショスタコーヴィチです。モルゴーアがそれこそ等身大で語れる音、そして聴いていただきたい音、音楽なのです。その音楽は癒されることはないかもしれないし、勇気が沸くこともないかもしれない。でも、巷で連日のように連呼される「希望」や「勇気」の真の意味について思い起こすきっかけになるかもしれません。

1906925日に生まれ、197589日に死去した我らがドミトリー・ショスタコーヴィチは今年が没後40年であり、翌年は生誕110年にあたります。このショスタコーヴィチの死から生へと繋がるメモリアルイヤーにモルゴーアが架け橋になりたいと思います。全曲に挑むのは4度目ですが、1日でというのは初めてです。

 

――このインタビューをご覧になっているみなさんに一言お願いします

◆前回の全曲ツィクルスから10年、その間にプログレッシブ・ロックも味方につけて、一段と鉄壁になったモルゴーアイズム。

これまでに経験したことのない年越しをお約束いたします。

唯我独尊、空前絶後にして、感動無比。

 

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Profile

モルゴーア・クァルテット

荒井英治(第1ヴァイオリン)、戸澤哲夫(第2ヴァイオリン)、小野富士(ヴィオラ)、藤森亮一(チェロ)

1992年秋に結成。19936月に第1回定期演奏会。

19981月、第10回「村松賞」受賞。2001年1月の第14回定期演奏会でショスタコーヴィチの残した弦楽四重奏曲全15曲を完奏。20036月の第19回定期演奏会でベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を完奏。日本コロムビアからリリースした、全曲荒井英治編曲のプログレッシヴ・ロック・アルバム《21世紀の精神正常者たち》《原子心母の危機》により、ボーダーレスな弦楽四重奏団としても高い評価を受ける。

モルゴーア・クァルテットの斬新なプログラムと曲の核心に迫る演奏は常に話題と熱狂を呼んでいる。

「モルゴーア」はエスペラント語(morgaŭa=明日の)に原意を持つ。

 

写真:2枚目(c)Norikatsu Aida

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1231日(木)1300開演 「ショスタコーヴィチ弦楽四重奏曲 全15曲演奏会」公演詳細はこちらからご覧ください。

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