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<オーケストラ Pick Up>
新日本フィルハーモニー交響楽団
音楽監督 上岡敏之さん インタビュー

2017年5月25日(木) / インタビュー

昨年9月、新日本フィルハーモニー交響楽団は音楽監督に上岡敏之さんを迎え、新日本フィルの新たな時代のスタートを切りました。横浜みなとみらいホールでも特別演奏会シリーズ「サファイア」がいよいよ始まります。就任2年目を迎える上岡監督にお話を伺いました。

7-9月コンサートカレンダー掲載記事のロングバージョンです。


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新日本フィルとの2年目のシーズンが始まろうとしています。どのように感じてらっしゃいますか?

―――今は、オーケストラといっしょに基礎の土台を築いている段階です。端的に言えば、良いところは残し、良くないところは伸ばしていくという作業ですが、一緒に仕事をしていくとそれが段々と個性になりつつあります。そしてそれがひとつの輪になって、スケールがひとまわり大きくなっていく。そんな過程のなかにいます。

今までの歌劇場の仕事とは180度逆ですし、日本のオーケストラのポストを持つのは初めてですが、日本のオーケストラの特徴は客演してきたので理解しています。日本のオケは、波状のない小さい箱をつくって、なんとかそこにおさまろうとするんですね。失敗してはいけない、人と同じでなければいけないと、謙譲の美学のようなものがあります。最初は、その箱を取り払うところからのスタートでした。僕が投げたボールに対して、そのボールをどう打ち返してくれるのか。メンバーの皆は、オープンに接してくれていますが、僕としては「もっと自分を出してくれ」と言いたい。呼吸し、言葉を話すように、音も自然な個性が出るようになるのが理想だと思っています。



「音楽に自然な個性が出る」ということはどういうことでしょうか?

―――僕たち音楽家にはすべてのベースにとなる「楽譜」という存在があります。

楽譜は嘘をつきませんから、メンバーと一緒に丁寧に読み込んで、作曲家の楽譜に対する思いを最大限に表現しようとします。ですが、演奏というものはその時々により変化するものです。もちろん指揮者としての大きなプランを僕自身持っていますが、必ずこうでなければいけないというものではありません。音楽には「これ」という完成形はなく、いつもいつも探求しているものです。音楽自体が未知数で、説明ができないもの。だからこそ素晴らしく、ひとに感動を与えることができるのですね。演奏する場所もいつも同じではないし、演奏する人の健康状態でも演奏は変わる。そのことを正直に出し、正直に楽譜と接することで、正直な音楽ができていくのです。

それをまとめながら、個性を引き出していく。

人間の個性というのは、いろいろな方向から、ゆっくり時間をかければかけるほど、どんどんひろがるものです。例えば、子どもの成長というものは、毎日見ているとちょっとずつなのでなかなか気づきません。親にしてみれば常に一緒にいるので、普段は全く気づきませんよね。でも、たまに会う親戚なんかは、「えー!大きくなったね!」と。1年で4~5cm身長が伸びれば、それは大きな成長ですが、家族はそれを自然に受け止めています。そういうかたちで音楽が自然に入って自然に出てくることが理想です。こういう風になれれば、音楽は自分のことばになっているわけですよね。

見えないところでひとまわり大きくなっている、それが来シーズンです。



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来シーズンよりはじまる、横浜みなとみらいシリーズ「サファイア」では、今後どのような曲に取り組んでいかれるのでしょうか?

―――チクルス的にマーラーとブルックナーをやっていきます。それ以外のプログラムは、斬新なものであれ古典であれ、それらにマッチしたものを組み合わせていきます。また、横浜みなとみらいホールは、サントリーホール・シリーズと同じプログラムですが、これはとても素晴らしいことです。同じ曲でも、1回演奏するのと2回とではオーケストラの成長にとって大きな差があります。同じ曲を、聴衆もホールの特徴も何もかも異なる環境で、その違いを感じながら演奏できることは最高の勉強になるのです。

ですから、「サントリーか、横浜かどちらか」ではなくて、両方聴いていただくことがお客様にとっても一番良いのですけれどね。


 

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最後に、今後の特別演奏会の聴きどころなど、横浜の聴衆に向けてメッセージをお願いします。

―――小さな頃から、横浜方面で暮らしていたので、地元という感覚もありますし、とにかく横浜という土地が大好きなんです。港が好きで、海が好きで...。このロケーション、つまり横浜みなとみらいホールという場所で演奏できること自体が嬉しくて仕方がありません。この特別な気持ちをこめた演奏会ですから、より多くの方に是非ともお聴きいただきたいと思います。お客様もまた、その日の演奏を構成してくれているひとりです。新日本フィルの音をぜひ「体験」しに来てください。

 


新日本フィルハーモニー交響楽団  New Japan Philharmonic

1972年、指揮者・小澤征爾のもと楽員による自主運営のオーケストラとして創立。97年より「すみだトリフォニーホール」を本拠地とし、日常の練習と公演を行う日本初の本格的フランチャイズを導入。定期演奏会等で高評価を得る一方、学校・福祉施設等での地域に根ざした演奏活動も特徴的。 

公式サイト:https://www.njp.or.jp/

 

上岡敏之(指揮)  Toshiyuki Kamioka, conductor

東京藝術大学卒業後、ハンブルク音楽大学に留学。ヘッセン州立歌劇場音楽総監督、北西ドイツ・フィル首席指揮者、ザールランド州立歌劇場音楽総監督、ヴッパータール市立歌劇場インテンダント兼音楽総監督等を歴任。20169月より新日本フィル第4代音楽監督。コペンハーゲン・フィル首席指揮者、ザールブリュッケン音楽大学指揮科正教授。

 


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