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「Just Composed」作曲家 馬場法子さんインタビュー

2017年3月08日(水) / インタビュー

312日開催「Just Composed 2017 in Yokohama」で新作「ハゴロモ・スイート(hagoromo suite)」を発表する作曲家、馬場法子さんにお話を伺いました!

 

babanoriko

 

――馬場さんはパリにお住まいですよね。フランスで活動されてどのくらい経つのでしょうか?パリに行ったきっかけは?

大学院生だった1999年にパリ国立高等音楽院を受験しました。そのころ作曲科の年齢制限が28歳くらいで、最後のチャンスだからと受けて、そのまま住んでいます。なので20年近くですね。小さい頃からフランスの作曲家、特にドビュッシーが好きで、それが根底にあります。年に一回、フランスへ一人旅をしていましたし、フランスという国が好きです。

また、パリのオペラ座でロバート・ウィルソン演出のドビュッシーのオペラ、《ペレアスとメリザンド》を観て、「これはフランスに留学した方がいいんじゃないか」と思って留学しました。

 

――そもそも作曲家を目指したきっかけは?

私は何でも作るのが好きで、図画工作とか、服とか作るのが好きなんです。最初はピアノを習っていたんですが、ピアノは人が作ったものを演奏するので、それよりは生み出すことに興味があって作曲を始めました。あと舞台に立つのがすごく緊張するので裏方がいいです(笑)

 

――パリ国立高等音楽院ではどんな作品を作っていたのですか?

全員必修でミュージックコンクレート*の授業がありました。雑音をとってコンピューターで逆再生したり、つなぎ合わせたりして、一つの音をオーケストレーションしたりしました。これがきっかけで音を探求することに目覚めました。

 

――青木さんが「馬場さんはあらゆるものを音として捉えて作品に取り入れる発想力がすごい」と仰っていました。

先ほど話したミュージックコンクレートの授業がベースにあるのかも知れません。雑音にリズムやポリフォニーを与えることによって、音として認知される瞬間が面白いと思います。時間軸にのせられる音は全て音楽だと思っています。また誰でも知っている、記憶にあるものをベースに音楽を作ると、お客さんが自分の記憶を探りつつ、投影しながら聴いてくれるのではないかと思います。

 

――今回の新作「ハゴロモ・スイート」は能の『羽衣』が題材ですよね。『羽衣』を選んだ理由は?

これの前に書いた曲は『葵上』が題材で、これも青木さんとのプロジェクトでしたが、内容がドロドロしていたので、今度は柔らかい作品を取り上げたかったのです。また青木さんのHPに「作曲家のための謡の手引き」というのがあり、それの作成を手伝っていたのですが、そこで取り上げた作品が『羽衣』です。たぶんその時、作りながら頭の中で歌っていたのかなと思います。今回とても自然に作曲できました。依頼された時は1020分と言われたんですが、10分と決めてそれを逆手にとって、「10分で観られるオペラ」として作りました。

 

――元から能はお好きなのでしょうか?

いえいえ。西洋音楽の教育を受けてきましたので(笑)クロード・ドラングルというサックス奏者に、日本と言えば能や歌舞伎だから、能をベースにした曲を書いてほしいと言われて、一から勉強しました。まずはリズムや緩急など精神を学ぶ感じでしたが、青木さんから謡の曲を書いてほしいと言われて、節(ふし)を勉強するようになりました。

 

――作曲する時に演奏者のことを考えながら書きますか?ちょっと難しいことに挑戦させたいと思ったり(笑)

ある演奏者が弾くことを想定して書くと、例えば初演ではフルートが男性で、男っぽさを表して書いても再演では女性だったりすることがありますから、それはしないですね(笑)以前は一つ一つの音に意見を言っていましたし、色んな小道具を使っていましたが、どうもシンプルじゃないなあと思うようになりました。最近はシンプルに、楽器だけでお客さんに夢を見てもらいたいと思っています。と言っても今回も小道具を使っていますけど(笑)

 

――弦楽四重奏はこれまでにいくつぐらい作曲していますか。

純粋な弦楽四重奏は2曲、弦楽四重奏+ハープが1曲、弦楽四重奏+謡は今回が初めてです。編成が小さいと密にリハーサルができますし、自分のやりたい音楽ができる気がします。

 

――フランスでは現代音楽を聴くお客さんは多いのでしょうか。

いろんな現代音楽のアンサンブルがあって、国がお金を出していることが多いので、無料で聴ける現代音楽の公演があります。タダが好きな国なので満席です(笑)でも最近は状況が変わって予算が厳しいみたいで、募金を募るアンサンブルも見かけます。それでも学校でまとまって聴きに行ったりする文化がベースにあるので、あんまり抵抗なく聴いていると思います。

 

――青木さんとのコラボレーションは今回が3回目ということですが、今後、青木さんとやってみたいプロジェクトはありますか?

 

今回の「ハゴロモ・スイート」を室内楽くらいの編成にして、劇版みたいにできたらと思っています。先日《Nopera 葵上》を青木さんとやってみて、コンサート形式もいいけど演出がつくオペラはいいなと思いました。仕舞や所作など、視覚的なものと音楽とを連動して作れたらいいですね。『羽衣』は舞が二つあって、「ハゴロモ・スイート」では一つだけ入れたので、次回は二つとも入れたいです。

 

 

リハーサル直前にも関わらず、気さくに色んなお話をしてくださいました。

馬場法子さんの新作「ハゴロモ・スイート」は12日に世界初演を迎えます。

ぜひお立ち会いください!

 

*日常生活や自然界で発せられる音・電子音などを録音して加工し、新たに音楽を作ること。

今回の「Just Composed」ではミュージックコンクレートの作品はございません。


※「ハゴロモ・スイート」リハーサルの様子

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