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<オーケストラ Pick Up> 神奈川フィルハーモニー管弦楽団 常任指揮者 川瀬賢太郎

2016年9月17日(土) / インタビュー

中面 神奈フィル 川瀬賢太郎 (C)Yoshinori+Kurosawa 20160213.jpgのサムネール画像

神奈川フィルハーモニー管弦楽団(以下、神奈川フィル)をけん引する、若き指揮者・川瀬賢太郎さん。神奈川フィルとの運命的な出会いや、今の神奈川フィルについて語っていただきました。コンサートカレンダー10月~12月号に掲載しているインタビューのロングバージョンです。


 ■神奈川フィルとは運命的な出会いだったそうですね

 

 20073月、東京国際音楽コンクール指揮部門で1位無しの2位を受賞しました。その入賞者デビューコンサートで指揮をしたオーケストラが神奈川フィルで、これが初めての出会いでした。

 その6年後、20134月の音楽堂シリーズが2回目の共演で「もう終わってしまったのか」と残念に思うほど心に残る演奏会でした。「また一緒に演奏できたら良いな、次はいつかな」と思っていた矢先、演奏会どころか常任指揮者のオファーをいただいたのです。

 

■オファーを聞いたときはどんな心境だったのですか?

 

 本当に驚きました。何度か共演して関係性が築かれた上でオファーするのが普通だと思うので、これはすごく特殊なケースだと思います。もちろん2回の共演は楽しかったですし、ありがたい気持ちもありましたが、正直ためらいの方が大きかったですね。

 例えば、6年ぶりに会った友人とご飯を食べに行って、その時にプロポーズされて結婚できますか?それと同じような感覚だと思います()

 実は2回目の共演となる演奏会で、僕が頑固に提案した曲を神奈川フィルは受け入れてくれたんです。もし他の曲だったら常任指揮者の話はなかったかもしれない。そう思うと運命を感じます。

 

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■常任指揮者就任当初の事を覚えていますか?

 

 神奈川フィルが公益財団法人になり新しいスタートを切ったと同時の就任でした。2か月後には300回記念の定期演奏会が控えているという状況だったので、プレッシャーもありました。最初の1年は雲の上を歩いているような感じでしたね。急に常任が決まったので、他のお仕事もありましたし、正直なところ実感がなくて、地に足を付けたくてもまだ分からないことだらけでした。

 

■常任指揮者就任から3年目、今の神奈川フィルをどう感じていますか?

 

 この間にもどんどん若い首席奏者が入ってきましたが、その若い彼らを迎える団員とのバランスが絶妙で、お互いが刺激し合って学び合う、その相互関係がすごく上手くいっていると思います。オーケストラの団員は、生まれた環境も違えば先生も違うわけだし、色々な人がいて同じ考えじゃないのが楽しいんです。社会の縮図です。でもお互いを認め合って、ひとつの事を成し遂げようとする。

 僕みたいな若い常任指揮者が「こんなに音楽が好きです!」と堂々と伝えて、音楽の事だけでお互いにリスペクトしあっていけたら、知らない間にオケが上手くなっているし僕も成長している。何かが変わっていくには時間がかかるし、我慢の時期も必要なのですが、それでも自分たちがもっともっと変わっていきたいという意識が強いんです。そういう点でも、このオーケストラの常任になれてよかったと思います。

 

■オーケストラの団員さんとは、普段どんな話をしているのですか?

 

 全ての曲は作曲家が命を削って書いている作品なので、本当はどう表現したかったんだろうとか、何でこの音にしたんだろうとか、悩むことも多くて・・・。メンバーは本当に音楽が好きで、尋常じゃないくらい曲の事を考えている人たちなので、そんな時は皆さんの意見をよく聞きに行きます。音楽という信じる物があるから、年齢関係なく意見を言いあえるんですよね。でも、もちろん音楽以外のことも何でも話しますよ。

 

■影響を受けた音楽家はいますか?

 

 モーツァルトは素晴らしいです。天才です。バッハやベートーヴェンも。

今はポップスやジャズ、R&B、演歌などジャンルに分かれているけれど、モーツァルトは「僕はクラシック音楽の作曲家になりたいんだ」って思って作曲家になったわけじゃないと思うんです。

「音楽」という歴史の中では、モーツァルトやバッハやベートーヴェンがいて小室徹哉やヒャダインがいる。この人たちの原点がここなんですよね。そう思うと本当にすごいなと思います。

 

■普段はどんな音楽を聴いているのでしょうか?

 

 今、車の中にはジャスティン・ビーバーが入っています。普段は邦楽も洋楽も何でも聴きます。ドビュッシーもEXILEも同じライン上にあって、たまたま仕事としてコアでやっている音楽がジャンルで分けるとクラシックというだけなんです。

 いわゆるポップスは「愛している」とか「寂しい」といった歌詞があるから理解しやすいですし、感情にダイレクトに伝わるので、今の若い方たちが好きなのは当たり前だと思うんです。でも、例えば「身近な人が亡くなって」とか「大切な人と別れて」とか、長く生きていくと人生経験が深くなっていく。そして言葉だけでは伝えきれない想いや、言葉では表現できない感情が生まれたときに、クラシック音楽が必要になるかもしれないですよね。その時のために、クラシック音楽を知ってもらう演奏会を積極的にやりたいと思います。

 

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121日、定期演奏会みなとみらいシリーズにご出演されますね。

 

 大の仲良しである、フルートの上野星矢さんが登場します。彼がジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールで1位を取った時の指揮者が僕でした。僕のパリデビューでもあった訳ですが、ほぼ同じ時期にデビューして、それ以来ずっと一緒に頑張ってきている仲間です。名古屋フィルでの共演が素晴らしかったのですが、今回は神奈川のみなさんに聞いてもらえる事を嬉しく思っています。

 ラフマニノフは人気な作曲家なのですが、交響曲の3番は演奏される機会が少ないんですよね。僕自身、ラフマニノフの交響曲の中で一番熟練され、完成されているのが3番だと思っています。

 

 定期演奏会のラインナップには名曲も入れるようにしているのですが、それにプラスして、"あまり知らないけど食べたら本当はおいしい!"というような回を作っています。それが1月の定期です。自分が食べて美味しいと思うものは勧めたいタイプです。食べてみてやっぱり不味いという方もいるかもしれないですが、お出ししてみないとわからない。なので、ぜひ食べてみてください。

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会みなとみらいシリーズ第326回

 


■神奈川フィルやご自身の"これから"を教えてください。

 

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 音楽が友達である人生は心を豊かにしてくれると思っています。僕自身、過去の作品に対峙する事で、自分が経験した事がないことを疑似体験していて、その中で色々な感情を覚えているんです。自分の考え方がまとまっていくというか・・・。考えの根幹が音楽からきていると思います。

 何百年も前の作品を目の前にして、その境地に立って理解しようと悩み、再現しているのが僕たちの職業なので、その過程の中で歴史だったり、文化だったり、感情だったり、色々な事を学んでいます。その学んだ事を、もっと音楽を通じて地域の人たちに伝えていくべきだと思っています。

 自分自身、神奈川フィルとの出会いも"点"だったのですが、それが"線"になって今がある。人生、何気ない出会いや経験が、実は将来ものすごい重要な"点"になっているかもしれないじゃないですか。神奈川フィルも皆さんにとって、そういう"点"になれたらと思います。

 

 

▼神奈川フィルハーモニー管弦楽団1970年に発足。神奈川県の音楽文化創造をミッションとして神奈川県全域を中心に幅広い活動を続けている。これまでに「安藤為次教育記念財団記念賞」(1983)、「神奈川文化賞」(1989)、「NHK地域放送文化賞」、「横浜文化賞」(2007)を受賞。

 

▼川瀬賢太郎1984年東京生まれ。07年東京音大を卒業。指揮を広上淳一等各氏に師事。06年東京国際音楽コンクール<指揮>において2位(最高位)に入賞。神奈川フィル常任指揮者、名古屋フィル指揮者。八王子ユース弦楽アンサンブル音楽監督。三重県いなべ市親善大使。


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