情報誌 毎月22日発行

3月号 / 2012

:インタビュー「尺八 三橋貴風さん&悪魔、アーティスト デーモン閣下さん」

12.02.21


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尺八
三橋 貴風氏

KIFU MITSUHASHI


悪魔、アーティスト
デーモン閣下氏

H.E.DEMON KAKKA

プロフィール

三橋 貴風
尺八琴古流を佐々木操風氏に、普化尺八古典本曲を岡本竹外氏に師事した。1980年「三橋貴風 第一回リサイタル」により文化庁芸術祭優秀賞を、81年に大阪文化祭賞を受賞し、89年にソロリサイタルにより文化庁芸術祭賞を受賞。92年、第10回中島健蔵音楽賞を、ソロCD「竹林奇譚」により文化庁芸術作品賞を、また横浜文化賞奨励賞を受賞。09年文化庁文化交流使に任命され、ブラジル及び韓国において活動を展開する。また同年、「三橋貴風 尺八本曲 空間曼陀羅 恨(ハン)の軌跡」により文化庁芸術祭大賞を受賞。10年、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。同年、横浜文化賞を受賞。本年(2011年)秋に、紫綬褒章を受章。邦楽啓蒙プロジェクト「デーモン閣下の邦楽維新コラボレーション」をプロデュースし13年目を迎える。海外の交響楽団からのソリストとしての招聘も多く、NYカーネ ギーホール等での演奏も多数、海外及び国内でのリサイタルも150回を数える。現在、普及用の合成樹脂製の尺八「NOBLE管」を開発、特許を取得。またうちなー(沖縄)尺八を開発し実用新案を取得。琴古流尺八大師範。

デーモン閣下
悪魔。アーティスト。魔暦前14(1985)年、聖飢魔Ⅱの主宰、ヴォーカリストとして地球デビュー。富士写真フイルム「写ルンです」CMでは大賞やタレント賞を受賞。「表現者」「音楽プロデュース」「演出」「文筆」「相撲評論」「舞台俳優」などで世に蔓延る。邦楽器や日本の伝統芸能とコラボレ―トするライヴとCD制作活動は四半世紀、百回以上展開。この容姿で武道館、国技館、歌舞伎座、国立能楽堂にも降臨。上海国際博覧会(万博)では「文化交流大使」も執務。魔暦10(2008)年発表の初監督映画「コナ・ニシテ・フゥ」でも音楽に三橋貴風氏の尺八や友吉鶴心氏の琵琶など邦楽器を登用。ロック音楽では魔暦9(2007)年i-tunes年間アルバムチャート1位に。魔暦12(2010)年、世界22カ国で大教典を発布し大陸間往来黒ミサ行脚。昨冬「Tribute to JAPAN」と称する震災復興支援イヴェントの主催として聖飢魔Ⅱが二日間のみ再集結した。今春通算38作目のアルバム(大教典を含む)を発表予定。公式webサイトhttp://www.demon-kogure.jp/




(イベント情報)



純邦楽による
デーモン閣下の「耳無し芳一」異聞!

3月10日(土) 横浜みなとみらいホール小ホール
販売予定枚数終了


デーモン耳無し芳一.jpg

◆お問い合わせ:
横浜みなとみらいホール
045-682-2000



対談:三橋貴風×デーモン閣下

邦楽器と朗読のコラボレーション
三橋貴風(以下三橋) 閣下を朗読に迎えての邦楽の企画コンサートを始めて実に14年目。「楽器が語り言葉が歌う」をキャッチフレーズに、邦楽器と朗読のコラボレーションの最高のエンターテイメントをお届けしてこられたと自負しています。
デーモン閣下(以下閣下) 思い起こせば13年前、我が輩の邦楽器への強い関心をきちんと把握されたうえで訪ねてこられた。我が輩にとってはまさに「飛んで火に入る夏の虫」であったな。というのも、さらに以前、我が輩はソロアルバムで尺八、三味線、琵琶、和太鼓の奏者達との共演を果たしていたが、その制作のときにはどんな純邦楽の演奏家を洋楽とのコラボレーションに招聘すれば適材適所となるのか暗中模索の経験となったのだ。それがなんと、相手のほうから我が輩の懐にやってきたではないか。「しめしめ」であった。
三橋 閣下の活動には日本文化が常に息づいているという確信を持っておりました。朗読のアイデアも閣下から提案いただきました。音楽家として卓越した才能を持つ閣下の朗読が、生の純邦楽器の演奏と呼応し、完全に共存しあう空間が生まれたこと、これが長く支持をいただけている最大の秘密であると信じます。
朗読は歌うこと
閣下 我が輩にとって朗読は歌うことと同じ位置づけなのである。音楽が鳴っているところに語りを入れるというのは、5万年前ほどから始めただろうか。皆が知っているところでは聖飢魔Ⅱの「蝋人形の館」等の曲でも披露している云わば「本職の一つ」なのだ。二度と同じ朗読はない。演奏の速度や表情が変われば語りの速度も声音も瞬時に変わる。逆に我が輩の間合いの取り方次第で演奏の掛け合いも変わってくるのである。一期一会の音楽セッションと考えてくれてよい。
三橋 朗読と邦楽器のコラボレーションにはさまざまな関わり方があり、邦楽器の果たす役割もさまざまです。一つには朗読のBGMの役割。二つめは効果音、サウンドエフェクトとしての役割。これこそは邦楽器が元来持っていた役割です。下座音楽は御簾の中で歌舞伎の芝居に合わせて効果音の演奏をし、琵琶ですと合戦の場面の語りに合わせて盛り上げるようにかき鳴らすという役目です。三つ目の役割としては、登場人物のひとりひとりの人格、キャラクターをそれぞれの楽器が担って表現するというもの。
閣下 例えば主人公の男性が喋るときの心情を尺八が表現し、女性が話すときには琴が心情を語る、という要領であるね。登場人物が多い作品はかなり複雑なことになってしまうが。ともかく、13年をかけて我々は邦楽器の役割を縦横無尽に組み合わせて深い奥行きを表現する奥義を獲得したのである。まだ聴いたことのない者は聴くことなく他界することなかれ!
朗読台本を手ずからつくりあげる
三橋 横浜みなとみらいホールでのパフォーマンスは三回目。最初は谷崎潤一郎の『春琴抄』。昨年の手塚治虫の『カノン』は会場にすすり泣きが漏れて、大きな手応えのあるパフォーマンスとなりました。
閣下 手塚治虫を取り上げようと決めて、いくつかの作品を提案したところ、三橋大師範が『カノン』を選択された。
三橋 作品の深い内容が閣下の朗読にぴったりだと確信しましたから。
閣下 ちなみに、あの漫画を朗読台本にする作業は非常に過酷であった。漫画には吹き出しの台詞と擬音しか文字では書かれていないので、絵でのみ描写されているものを全て言葉に置き換えなければならなかったからだ。想像力を駆使して、場面や情景を台本へと創作した。登場人物が「ガーン!」となっていたり涙している絵など、その程度や感情の形容を文字にすることが最も難しかったな。手塚治虫がなぜ「その場面」を「その視点」から描いたのかをくみ取らなければならなかったから。朗読の台本をつくるところからすでにパフォーマンスはスタートしているのだ。
三橋 今回は琵琶という邦楽器が主役の『耳無し芳一』を「異聞」版でお届けします。まさに満を持してといったところでしょう。
閣下 今回もむろん朗読の台本を我が輩が手ずから構成する、三橋大師範の意見を盛り込みながら。ここで詳しく言えないのは残念だが、小泉八雲の原作とはひと味もふた味もちがうものとなるであろう。えっ、前回の時のように感涙を誘うようなものなのかって?大丈夫、十分に怖がらせてやるから!
2011年12月14日 新宿にて



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