情報誌 毎月22日発行

10月号 / 2011

:インタビュー「作曲家・ピアニスト 鬼武みゆき さん」

11.09.22


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作曲家・ピアニスト
鬼武 みゆき 氏

MIYUKI ONITAKE

プロフィール

作曲家・編曲家・ピアニスト。4歳よりエレクトーン、11歳よりピアノを始め、同時に作曲を始める。東京理科大学理学部数学科卒業後、システムエンジニアとして働く。1992年、27才で本格的に音楽活動を開始。「横濱 JAZZ PROMENADE」に連続14年目の出場を果たす。

◆鬼武みゆきさんHP


(イベント情報)

JP_メインビジュアル.jpg 横濱 JAZZ PROMENADE 2011

日時:10月8日(土)・9日(日)11:30〜21:00頃※会場により異なります
会場:横浜市開港記念会館、関内ホール、ランドマークホール、横浜赤レンガ倉庫1号館、横浜みなとみらいホール大ホール(9日のみ)、ほか市内ジャズクラブ、街角会場など 約50ヵ所


◆チケット:
前売券(前日まで取扱い):
ひとり券4,000円 / ペア券7,500円 / 両日券7,500円
当日券:
ひとり券5,000円 / みらいパス(中学・高校生/要学生証)1,000円/小学生無料

◆お問い合わせ:
横濱 JAZZ PROMENADE 実行委員会
(ヨコハマ創造都市センター内)

045-221-0325
twitter @jazzpromenade 


鬼武みゆき with Friends
日時:10月9日(日)17:30〜18:30
会場:関内ホール 小ホール
出演:
鬼武みゆき(ピアノ)、グラストン・ガリッツァ(ボーカル、ギター)、鳥越 啓介(ベース)、岩瀬 立飛(ドラム)、Saigenji(ボーカル、ギター)



14年連続出場は幸せ

今年も「横濱 JAZZ PROMENADE」に出演されます。
今年で出演14回目となります。 このフェスティバル19年の歴史のかなり多くに関わることができて幸せです。今年は、昨年に続き、盲目のブラジル人シンガーソングライター、グラストン・ガリッツァと、日本でエネルギッシュに活動を続けるサイゲンジの強力なツインボーカルをゲストに迎えて、また新たな私の音楽世界を味わっていただくつもりです。 おこがましいけど「鬼武ワールド」と呼んでもらっているんですよ。
グラストン・ガリッツァさんとは昨年に引き続きの共演ですね。
「横濱 JAZZ PROMENADE」は私にとって一年間の集大成の場と位置づけているんです。
その一年で私が深く関わった素晴らしいアーティストとともにステージに立ちたいと思っています。グラストン・ガリッツァさんとは昨年の共演の時には、共同作品はまだ5、6曲の紹介でしたが、今年は共作のアルバムを発表することができました。ここに収録された曲を中心に演奏する予定です。
ガリッツァさんとの出会いのきっかけは?
元鬼武トリオのメンバー、パーカッションのヤヒロトモヒロさんは、毎年たくさんの素晴らしい海外アーティストを迎え、日本でツアーをしているんですが、その企画の一つとして、3年前、グラストンさんが初来日したんです。それでライブを聴きにいったところ、前評判どおり、素晴らしい、響きのある歌声でした。演奏終了後、私のニューアルバムを彼に託したところ、マドリッドに帰国してから聴いてくれて、「素晴らしかった。君のピアノは、僕の好きな、昨年亡くなってしまったスペインの偉大な作曲家でピアニストの音楽を思い起こさせてくれた。」というメールをくれたんです。しかも、その作曲家の曲も一曲添付して。聞いてみたらとても素晴らしくて、この音楽に、私の音楽を重ねてくれたということは、きっと、何か共作ができるんじゃないかと思ったんです。それで、私の方から共作を申し出ました。返事は、「もちろん!ぜひやろう!」でした。
どのようにやりとりして共作したのですか?
彼はマドリッドに住んでいますから、横浜、マドリッドと、海を越えての共作を始めました。私が作曲、グラストンは作詞担当です。曲をピアノで録音してメールで送ると、彼も出来上がった歌とギターを録音、メールで返して来るというやりとり。彼の母国語、ポルトガル語での作詩でしたから、さらに英語訳もつけて送ってくれました。時には、オリジナルキーだと途中でこんな感じになってしまうので、このキーに変えたいと思った、など、メッセージだけを別録音したものも添付してくれたりして、距離感はまったく感じなかったです。でも、最近は、テレビ電話のような便利なツール「スカイプ」があるので、さらに楽にやりとりできるようになりました。インターネットは私達にとって必需品です。

風景から曲はできる

どんなステージになりそうですか?
関内ホール小ホールでのステージはライブハウスのような感覚で演奏できるのでとても気に入っています。お客様との距離も近くて会話もできるので。
客席との会話は大切ですか?
とても大切ですね。普段のライブの中で、会場に来てくださったお客様と、何か一緒にできることはないかと考えて、3年ぐらい前から始めたのが、お客様からお題をもらっての「即興作曲コーナー」なんですが、最近、すっかり恒例になったので、事前に考えて来てくださっているのか、難しいお題も多くなってきました。「吹雪の中で絶叫するフランク・シナトラ」、「横浜国際女子マラソン」など、一瞬どうしようと思ってしまうものもあります。そんな時は、お客様といろいろ話しているうちに、自然と映像が浮かんできて、メロディが舞い降りてくるんです。今年の「横濱JAZZ PROMENADE」でも、もちろんこのコーナーがありますので、その日、その場でしか生まれない、お客様とのコラボレーションによる曲づくりを、体験していただければ嬉しいです。
どうやって曲ができるんですか?
最近いただいたお題「横浜国際女子マラソン」は、難しかったですね。でも、ランナーが走り始めて、苦しくなりながらも、沿道で応援するたくさんの声援の中、走り続け、また、海が見えたり中華街が見えて来たりする横浜の光景を思い描くうちに、意外にインスピレーションがわいてきて、なかなかいい曲になりました。
曲づくりに参加できるんですね。
はい。お題コーナーの面白いところは、お客様からお題をいただいたと同時に、会場にいる皆さんの頭の中でも「いったいこのお題からどんな曲ができるんだろう?」と、考え始められるんですね。それで、私が一音奏でたところで、「あ、こうきたか」「あ〜こんなふうになるんだな」とか、「ここはあの部分を表しているのね」などなど、リアルタイムで一緒に曲作りを楽しんでいただけるのではないかと思っています。大抵の場合、お題をいくつかいただいて、皆さんと共に主人公を決めながら、まずはストーリー作りをします。だから、曲のどこの部分が何を表しているのか、風景を頭の中に浮かべやすくなるのかもしれません。ぜひ楽しんで参加していただきたいです。

物語が見えるような曲をつくりたい

作曲には物語が必要なんですか?
最初にあるメロディが生まれたとします。その次に続くメロディは、物語がないと、無限大に生まれてきてしまって、なかなか一つに決めるのが難しいんですね。でも、物語があると、その後の展開のイメージが確実にわかっているので、メロディを限定できるんです。昔から、映画音楽を作りたいと思っていたので、そんなことも影響しているのかもしれません。
曲づくりのテーマはどこにあるんですか?
曲づくりは特別なものではなくて、さりげない、日常の生活の中で感じたいろいろなことがテーマとなっています。旅先では、さまざまな発見や感動、冒険があると思うんですけど、普段の生活の中でも、同じように発見や感動、冒険があると思うんですね。そういう日々の小さな旅が重なってできた一つの大きな旅が人生なんじゃないかなって思うんです。
どうやって曲をつくるのですか?
日常の中で感じたものを必ずスケッチブックに書き留めています。書き留めておいた言葉がたまったところでスケッチブックをピアノの前に置いて、ピアノの鍵盤に指をおろすと、フッと音が舞い降りてくるんです。次々と出てきたメロディは、同時に譜面に書くのは難しいので、弾いている間中、録音機をまわしっぱなしにしています。
そのスケッチブックには何が書かれているのですか?
日記のように、とりとめもなく日々の想いを書き綴っていたり、あるいは詩のようなものだったり、単語の羅列のようなときもあります。それらの言葉が、自分の中で何かひとつに繋がったところで、曲作りをスタートします。
曲づくりのスタートは言葉なんですか?
言葉としては完成度にこだわってないです。感じたことを言葉やストーリーにすることで、冷静になれるのかもしれないですね。深い悲しみの中にいたり、感情的にどん底のときには、曲はつくれないですから。大きな感情の底から抜け出して、悲しみのなかに光が見えたときに曲がすっとできるんです。

私の音楽で元気づけたい

曲にはどんなことを込めていますか?
聴いてくださった方に「元気」を感じていただけたら嬉しいですね。どんなに悲しくても夢を見れたり、元気になれたりするようなものを表現したいと思っていますが、実は、それって、人間みんなに備わった能力だと思うんです。人間ってとても強いもので、どんな時も、ここに戻れば暖かい気持ちになって出直して行ける、という場所を誰もが自分の中に持っているのだと思います。真っ暗な中で手探りでドアを探してもなかなか見つからないときでも、必ず、ある時、扉を見つけることができる。そのドアは自分の心の中に持っているのだと思います。もちろん、まわりにいるひとたちの愛があるから立ち直れる、探し当てることができるのですが、元々は、自分の中に持っている力なのだと思います。それに気付くためのちょっとしたお手伝いができれば幸せです。
今度の「横濱 JAZZ PROMENADE」のテーマは「ありがとう。」なんですよね。
ええ、私もたくさんの「ありがとう」を届けたいと思っています。今の私があるのは、本当にたくさんの方々のおかげですし、私の音楽を聴いてくださる皆さんから暖かいメッセージをいただくことによって、逆に私が元気をいただいたりと、いつも感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんに「どんな時も、必ず夜は明けて、新しい一日が始まっていく」という、たくさんの「希望」や「元気」を感じていただけるような音楽を奏でていきたいと思っています。 ぜひ聞きにいらしてくださいね。
2011年7月27日財団事務局にて



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