情報誌 毎月22日発行

12月号 / 2009

:インタビュー「束芋さん」

09.11.19


束芋:断面の世代(横浜美術館)

アーティスト 束芋氏
TABAIMO

プロフィール

1975年兵庫県生まれ、長野県在住。1999年、京都造形芸術大学卒業。 大学の卒業制作として制作したアニメーションによる映像インスタレーション《にっぽんの台所》が、キリンコンテンポラリー・アワード 1999最優秀作品賞を受賞。2001年、第1回横浜トリエンナーレで最年少の作家として出品。以後、2002年、サンパウロ・ビエンナーレ、2006 年、シドニー・ビエンナーレ、2007年、ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア館)など数々の国際展やグループ展に出品を続け、日本を代表する映像インスタレーション作家の一人として注目を集めている。2006年、原美術館、パリのカルティエ現代美術館で個展を開催。本展は国内公立美術館では初めての個展となる。

イベント

12/11(金)~2010年3/3(水)束芋:断面の世代
<会>横浜美術館

<問>横浜美術館
束芋<団断>(イメージ)2009年映像インスタレーション

束芋《団断》(イメージ)2009年 映像インスタレーション
Courtesy the Artist and Gallery Koyanagi



大学での卒業制作『にっぽんの台所』でキリンコンテンポラリー・アワード1999最優秀賞を受賞。その後、数々の映像インスタレーションが国内外で高い評価を受け、今や日本の若手アーティストの代表格でもある束芋さん。その作品は立体的な装置に、アニメーションを投影するという独特なもの。大型の新作インスタレーション5点を制作中の束芋さんに、今回発表される作品について伺いました。

※動画は城西国際大学メディア学部学生の制作による横浜美術館開館20周
年記念展「束芋:断面の世代」 の告知映像です。
(横浜美術館と城西国際大学メディア学部は連携プロジェクトを立ち 上げ、
横浜美術館での展覧会、イベント等の映像を配信しています )

自分が驚けるものをつくりたいと思っています

それまであまり評価されることがなかった私が、大学でアニメーション作品をつくったときにすごく評価されたんです。それがうれしかったんです。アニメーション作品の制作は本当に地味な作業の繰り返しだけど、その時に、自分は地道にコツコツとやることでしか何かを成すことはできないんだ、と思ったんです。これまで、あきらめてしまったことはたくさんありましたが、制作活動に関してだけはあきらめずに続けています。最初からアーティストになろうという気持ちは全然なくて、夢中でやって気がついたら10年経っていたという感じです。

今回のテーマ「断面の世代」の「断面」のイメージは、2007年に《dolefullhouse》というドールハウスを舞台にした作品をつくったときに、出てきたものなんです。集合住宅や自分の身体を置く場所、身体の外とか中とか、いろんな断面を見てみたいと思ったのがはじまりです。今展覧会のメインイメージとなっている団地には、ずいぶん前から興味があり、いつかかたちにしたいと思っていました。同じ間取り、同じかたちの部屋に、住む人の好みによって家具やモノが配置されていく、ひとつひとつの部屋が特有のキャラクターを持ち始めるのが面白くて...。制作中はいつも、自分が見てみたいもの、自分が驚けるものをつくりたいと思っています。これだけ情報があふれていると、どんなものを見ても、あまり驚きがないんですよね。そういう中で自分が驚ける作品をつくるためには、最後の形態を想定してそれに向かって進むのではなくて、つくり方によって、自分が驚けるかもしれない可能性のある方法をとっています。

作品の最後のまとめ上げの段階になっていくと、寝る時も夢の中でもずっとそのことを考えているんです。そして、完成した作品が思った以上のものになった時、わくわくしてすべてが素敵に見えてくる。本当にいい恋をしたとき、人はこんな気持ちになるんだろうなって思うんです。制作って本当にしんどいですけど、その気持ちを味わえるから『またつくろう』って思えるんですよね。

(2009年9月 横浜美術館にて)


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