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クレイ・アニメは緻密な手作業の世界だ。だが、伊藤さんは元々コンピュータグラフィックの仕事をしていたという。正反対の世界からの転向。
「コンピューターには従来を越えた表現の自由があるかわりに、数式による表現の限界があって、手をつっこみたくなるような時もありました(笑)。自分の感性とつきあう表現方法を探っていて出会えたのが、クレイだったんです。」
そんな中、世界中の作家が集まる広島の国際アニメーション映画祭で入賞。そして95年に仕事を辞めて渡英した。その経験が大きな刺激になったという。
「『映像は、もっと自由なものなんだ』と感じたんです。その中で、人間の手が作ったひとコマひとコマを積み重ねてイメージを作っていくのがクレイアニメーションだったんです。」
その後NHKから幼児向けの番組制作の依頼があり、「ニャッキ!」が誕生する。粘土のイモムシの大冒険。放送時間5分の作品に3週間の撮影が必要で、その間NHKのスタジオにこもりきりになるという。
「“ニャッキ!”はお話も自分で考えるし、造形・操演まですべてを自分達で手がけていて、小劇場を持っている感覚です。おかげさまで11周年を迎え、今やライフワークとなりました。繊細で地道な作業は大変ですが、集中する時間は楽しいですよ。」
伊藤さんは今年、万国橋SOKOに新たなスタジオを構えた。なぜ横浜を拠点にしようと考えたのか。
「僕は本籍が横浜なんです。そのせいか、“ニャッキ!”の物語の風景が無意識のうちに自分の住んでいた横浜の風景に近づいてくるんですよ。東京で映像の仕事を始めて20年になりました。大きく根を張るならば、自分の街、横浜がいいなと自然に思ったんです。」
この夏に行われる「ヨコハマEIZONE(エイゾーン)~映像文化都市フェスティバル~」にも伊藤さんは参加する。
「横浜は面白い才能が集まった活気のある都市です。EIZONEは『このエリアから新しい力を発信します』っていう旗揚げだと思うんですね。ぜひ、横浜をはじめ世界中から足を運んでいただきたいです。」
最後にこれからの展望を伺った。
「“ニャッキ!”を通してクレイアニメーションの可能性を楽しんでいます。デジタルなどの最新技術と伝統技法をミックスして、活気ある新しい映像としてのアニメーションを発信していければいいと思います。」
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●プロフィール
伊藤有壱(イトウユウイチ)
1962年生まれ。東京藝術大学デザイン科卒。1998年I.TOON Ltd. 設立、同代表。クレイを中心にあらゆるアニメーション技法を駆使して、TV番組、CM、ミュージックビデオ等で活躍するアニメーションディレクター。代表作の「ニャッキ!」(NHK教育)、宇多田ヒカルや平井堅のMV、クレイアニメ制作ソフトのプロデュースも手がける。NHK「デジタルスタジアム」キュレーター、第10回広島国際アニメーションフェスティバル国際選考委員、大阪芸大客員教授、東京芸大非常勤講師、日本アニメーション協会理事。(I.TOONホームページhttp://www.i-toon.org/) |
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