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今年4月、横浜港に臨む万国橋会議センターに東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻が開設されました。国立で初のアニメーション教育機関、さらに日本のアニメーションの拠点としても期待されています。その教授陣のひとり、山村浩二さんは、近作「カフカ 田舎医者」で国内外の数々のグランプリを制覇。ユニークな世界観と、10,000枚を超える原画を1枚ずつ手書きで制作する表現技法がアニメーション芸術の新境地を切り拓いています。独自の制作スタイル秘話、そして若い人たちへのメッセージを伺いました。
インタビューは東京都世田谷区「ヤマムラアニメーション」にて
「頭山」2002/10分/
35mm/Dolby Digital
アニメーションというものは、白紙から作るんですよ。
全くゼロから絵も音も創造するので、どんな可能性も秘めている。すごく自由で、ストーリーがあったり、抽象的だったり、まだまだ未開拓な分野。そこが作り手としての魅力であり、苦労するところでしょうか。
僕は、アニメーションは絵を描くことの延長線上にあると思っているんです。昨今はCGが全盛で、手描きでアニメーション、と言うと一般の方は驚かれるのですが、実際に手を動かしている時に「手から考える」というか、予期しなかったような偶然性というものが入り込み、頭で考えるイメージ以上の膨らみが、画面に現れるのです。
だから一枚の油絵をひとりの画家が描くのと同じ様に、始めのアイデアからストーリー、制作、そして音までつくり上げるのは、僕にとって自然なスタイルです。絵に音楽のように時間軸の流れができる時にアニメーションになります。
アニメーション専攻では、作家はもちろん、プロデューサーや評論家などの人材も育てます。将来的にライブラリー等も整備して、日本アニメーションの国際的な拠点にできればいいですね。
僕は、お互いに作家同士として学生とつきあっていきたい。作家というのはオリジナリティが勝負。何かを教えるというより、刺激的な存在としてあればいいかな、と。「学生の可能性に手助けをする」ことになるんじゃないでしょうか。
校舎の窓の外には海が広がっていて、みなとみらいの観覧車や現代建築群も見える。自宅ではなく、この開放的な環境で仲間とじっくり学ぶのは、また違う視点が入ってきてとても貴重な2年間になるはずです。
僕は、高校生の時に見たカナダやロシアのアニメーション映画が作家を目指すきっかけになりました。その頃から自分でアニメーションを作りはじめたんですが、絵も好き、もちろん漫画も映画も好きで…当時はまだ方向性が決まってなかったですね。
最近、若い人を見ていて気になるのは「自分の好きなものしか見ない人」が多いということ。高校、大学の頃に出会ったものは自分の感性の骨の部分になりますから、あまり自分自身で可能性を限定しないでほしい。あと、とても受け身で、自らいろいろな知性を広げようという意志を感じない。アニメーションには、映画はもちろん文学、演劇、何でも要素としてありうるわけです。なるべく多く、深くいろいろな表現に接してほしい。
知の幅をなるべく広げた上で、最終的に「やっぱりアニメーションだ!」と思ったら、ぜひ藝大アニメーション専攻の門を叩いてください。
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1964年名古屋生まれ。多彩な技法で短編アニメーションを制作。落語を題材にした「頭山」がアニメーション映画祭の最高峰、アヌシー、ザグレブ、広島をはじめ6つのグランプリを受賞、第75回アカデミー賞にノミネートされる。07年「カフカ 田舎医者」がオタワ国際アニメーション映画祭でグランプリを受賞し、「頭山」での受賞を含めて世界初となる4大アニメーション映画祭を制覇。4月より、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻 教授に就任。
上映情報『カフカ 田舎医者』3/29(土)から
〈会〉シネマ・ジャック&ベティ、TOHOシネマズ 川崎