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横浜自主上映事情

自主上映で探る映画の可能性

  近年、シネマコンプレックスの台頭、単館・独立系映画館の閉館、レンタル、セルDVD市場の拡大などにより、映画を巡る状況は劇的に変化してきた。スクリーン数は増えたが、反面、上映作品が集客力のある映画に集中し、娯楽性が弱い映画は上映されにくくなった。観客は劇場で多様な映画作品を観る楽しみが、作者は発表の機会が少なくなってきているのかもしれない。
山手ゲーテ座「ぺぺ馬場キネマ劇場」中島莞爾監督「箱 The Box」上映後、監督のトーク

 自主上映という形で、映画の可能性に挑戦している人たちがいる。2004年、惜しまれながら閉館した『横浜日劇』をはじめとする6つの映画館の経営に関わってきた福寿祁久雄さんもその一人。2005年3月、『文芸映画を観る会』を結成、以来、4回の自主上映会を開催している。
 「マニアックな作品もDVDが販売され、個人で鑑賞できる時代。好きな作品を観るためだけの自主上映の必要性は少なくなってきました。何故その作品を上映するのか、コンセプトを定めることが大切です」
 『文芸映画を観る会』では、会場の県立神奈川近代文学館の企画展に合わせるなど、文芸映画にこだわった上映を続けている。(次回上映、1/7(土)、8(日))

「文芸映画を見る会」のチラシの数々 「文芸映画を見る会」チラシ

 自らも創作活動をしながら、自主上映会『ペペ馬場キネマ劇場』を開催しているのは16年、17年カンヌ国際映画祭「監督週間」短編部門出品、17年度横浜文化賞奨励賞、神奈川文化賞未来賞を受賞した、映像作家の辻直之さん。過去11回、岩崎ミュージアムで上映会を行ってきた。
 「音楽とかアートについては、横浜にはシーンがあると思うんです。映像についていうと、たくさんの映像作家がいるわりに、上映できる機会がとても少ない。それをなんとかしたいと思ったのが開催のきっかけです」
 上映される作品は様々。神奈川の作家の作品を中心に、自分たちが紹介すべき作品を選んでいる。
 難解なものもあるので、作家の解説も合わせて、見どころや楽しみ方を発見するお手伝いもしています。観客と作家の出会いも自主上映の醍醐味です」
 商業的な観点がほとんどないので集客が伸びないこともしばしば。そんな中で、自主上映を続ける理由は何だろうか。『ペペ馬場キネマ劇場』の他にも様々な自主上映を行っている岩崎ミュージアム・小池さんはこう話す。
 「大きなスクリーンで映されるのが映画の本来の形。例えば絵画などの美術作品でも、教科書の中で見るのと、実物を目の前にするのでは違いますよね」
 折りしも、横浜駅近くの映画館、相鉄ムービル閉館のニュースが飛び込んできた。映画界の変化はまだまだ止まりそうもない。
県立神奈川近代文学館外観県立神奈川近代文学館、館内の様子 県立神奈川近代文学館

 映画がどこへ向かうにしても、変わらないものもある。それは映画の持つ力。半世紀に渡り横浜で映画に携わってきた福寿さんはこう話す。
 「上映したいという人、それを見ようとする人、その思いが重なる。同じものを好きな人たちが同じ目的で集まってくる、それがいいじゃないですか」
 これからの映画がどうあるべきか、自主上映の中にそのヒントがあるのかもしれない。
文芸映画を見る会事務局:090-8174-7791

ぺぺ馬場キネマ劇場
Email:ahoutengoku@mbg.nifty.com
http://filmmaker.jp/

岩崎ミュージアム:045-623-2111



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